「現代アートの舞台裏(サラ・ソーントン)」

【書名】現代アートの舞台裏

【副題】5カ国6都市をめぐる7日間

【著者】サラ・ソーントン  (訳)鈴木泰雄

【出版社】ランダムハウス講談社

【出版年】2009年

「アート界は円滑に機能するシステムではない。むしろ、それぞれ異なるアートの定義を振り回す社会集団や擬似職業集団が、衝突をくり返す群れのようなものである。本書に登場するほとんど全員が、アートは感情を刺激すべきものであるという意見に賛成する。だが、第1章(オークション)では、もっぱらアートを投資や贅沢品と位置づける。第2章(批評会)では、アートを知的な営み、ライフスタイル、職業として扱う。第3章(アートフェア)におけるアートは崇拝の対象であり、レジャー活動であるが、オークションの場合とは微妙に異なる商品とみなされる。第4章(賞)では、アートは美術館の展示品、マスコミの記事ネタ、アーティストの価値の証拠と位置づけられる。第5章(アート雑誌)に登場するアートは言語表現のきっかけであり、討論や売り込みの対象となる、第6章(スタジオ訪問)ではアートは以上をすべて包括したものであり、そのことが村上の大きな魅力になっている。最後の第7章(ビエンナーレ)では、アートは人脈づくりの口実であるとともに、国際的な注目を浴びる観光イベントである。」

「グローバリゼーションがますます進む世界では、アートは国境を越えていく。言葉による文化にはまねできないやり方で、アートは意思を伝える共通語、共通の関心事になりえるのである。」